忍者ブログ

800画報アニメ観戦記

アニメの感想とか近況報告
[PR] (2024/11/25 )
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

有頂天家族 まとめ感想 (2013/10/13 )

総評

PAWORKSらしい実に丁寧な仕事ぶりで非常に贅沢な出来の作品でした。原作ファンの僕も大満足の出来です。こんなに良いアニメ化してくれてありがとうございます。

久米田先生がキャラデザするとのことだったので、平面的な画面にするのかなと思ってたんですがまさかリアル志向で画面をまとめて来るとは……。リアルな背景の説得力と細かいキャラの演技付けと、ファンタジーなキャラデザというミスマッチさが良い意味で”森見京都世界”を表現出来ていて素晴らしかったです。

地の文をばっさりカットするという脚本方針も最初は不安でしたが、最終的に原作からブレないものに仕上げていて上手くリファインしていたと思います。またこの脚本だったからこそキャラクターの細々とした演技や画面レイアウトの妙に集中できるようになっていました。
ただまぁ、地の文カット・リアル志向の画面の弊害として若干湿っぽくなりすぎたかな?と思わなくも無いんですがあくまでアニメ化という調理の範囲内なので気にするほどでも無いです。むしろ原作未読の方は原作と読み比べる楽しみがあると思います。

作品自体は地味な作品というカテゴライズになるかと思いますが、その実ものすごく細かい計算の上で成り立っている作品なので未見の方がいるなら是非観て欲しい作品です。

脚本面に関して

ストーリー構成自体は原作準拠なのでアニメの評価というよりは原作評価になってしまいますが、序盤で静かに伏線を撒きつつ世界観を見せていき、後半の雲行きが怪しくなってどん底の展開を見せてから一気に盛り上げてしっとりとしたエピローグで締めるというまさにお手本のような構成です。
こうして言葉にしてしまうと定番すぎてどうよ?と思われるかも知れませんが、やはりこの王道構成で質のいい作品を作られると視聴後の「良いもん観たぞ!」感が最高です。王道には王道たる所以があるのです。
原作読了後もこの気持ちのいい読後感を味わいましたが、アニメ視聴後も再び同じ幸福感に包まれました。

また原作は一気に読んでしまったので気づかなかったんですが、淀川先生の描写は一貫して”命を食すこと”への問いかけになっていたんですね。これはアニメとして毎週放送されるTV放送のアニメというスタイルだったからこそ気づけました。
また下鴨一家の家族愛についても、同様にTVアニメの構成の必然として強調される形になっていたかなと思います。


地の文の取り扱いに関して同原作者の作品をアニメ化した四畳半神話体系は”高速ナレーション”を答えに出してきましたが、本作は真逆を行くバッサリ地の文をカットするというものになっていて、同様の作品に対してここまで対照的なアプローチになるというのが面白いですね。しかもどちらもきちんと森見世界を表現出来ているので、アニメ表現の奥深さを感じました。

演出・作画に関して

脚本面で地の文を切った分、頑張ったのが作画での演技とレイアウト。いちいち挙げてたら枚挙に暇がないくらい良い演技・良いレイアウトの宝庫のような作品でした。
よくもまぁ久米田キャラを使ってこんなに上手く演技付けできるなと感心してしまいますよ。どうしても久米田キャラというと某シャフトな”動かないアニメ”を連想してしまうので。

素晴らしいシーンについて敢えて一つあげるならやはり3話での弁天様が鯨を引っ張り上げるシーンでしょうか。弁天様が駆け出す瞬間から鯨の尾ひれを掴みあげるまで、あんな荒唐無稽なシーンなのに妙な美しさと弁天様の怪しげな魅力に溢れたシーンでしたね。

また鯨のシーンも含め、「いくらなんでも無茶苦茶だろ!」というような原作描写を尽く成立する画面に仕上げているというのも素晴らしいですね。ほとんどのコンテを吉原監督自身が切っているという点も含めて原作愛に溢れる仕事でした。

キャラクター及び役者陣について

繰り返しになりますが、本作はかなりリアル方面に振っているわけで役者陣の演技もそれに習って皆さんりリアル志向だったと思います。それが作品の湿っぽさに拍車を掛けている側面もあるのでバランスって難しいなと思いつつこれもこれで有りなのです。

特に印象的なのは、母上@喜久子さん・弥一郎@諏訪部さん・弥二郎@吉野さん・弁天様@まみこ・早雲@飛田さん ですかね。
いやもちろん他の皆さん素晴らしいんですが。

下鴨家サイドのお三方はなんといっても泣きの演技が素晴らしかった。すんごい重い感情が乗ってて心に響きます。一方悪役サイドの2人はまぁその堂々たる悪役っぷりですよ。きっと弁天様・早雲にイラついた人も多かったんじゃないかしら。またどちらもタイプの違う悪役ですからね。
飛田さんは元々悪役に定評のある方なので早雲のタヌキ親父っぷりと実にマッチさした嫌らしい悪役でしたが、能登さんの悪女っぷりはすごく新鮮かつ堂に入った演技で感心しました。

こういうえんぎも
できるのよ
のとまみこ
(有頂天家族実況スレで何故か流行った遊び。あと早雲登場のたびに「くたばれー」と書き込む遊びも面白かった。)


弁天様のミステリアスさには、かなり翻弄されている人も多かったように思います。僕自身原作を読んだ時にはすごくイメージしにくいキャラクターだなと思っていました。
実際問題、弁天様が何者なのか?という点については原作の第二部、第三部待ちなので現状はミステリアスで天下無双な人という以上のキャラ付けは無いんですよね。でもこういうキャラはアニメには珍しいのですごく新鮮でしたし、なおかつ主人公がその女性に惚れているという点がすごく異色なので上手く他のアニメと差別化できてて良いと思います。


まだ原作2部が世に出てもいないのにこんな事をいうのも気が早い話ですが、是非第二部も同じスタッフで作って欲しいですね。

拍手[0回]

PR
プロフィール
HN:
いちナぎ
性別:
男性
自己紹介:
2012年春から2017年までアニメ感想を書き溜めていました。現在はブログを移転しています。
移転先

基本ネタバレ含みますのでご注意ください。
ブログ内検索
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
アニメ感想インデックス
最終回まで観たアニメの総感想記事まとめ

終了作品感想インデックス
ツイート
バーコード
忍者アナライズ
忍者ブログ [PR]

Template by decoboko.jp