800画報アニメ観戦記
アニメの感想とか近況報告
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
総評
中村監督作品は常に異色の出来になりますが、本作も期待に漏れず異色作となり、またここ数年の中村監督作品の中では出色の出来だったかと思います。なので返す返すも制作の遅れと、それに伴う”消えたBパート”がとても残念でした。
もちろん放送分だけでも一応の決着はついていたので高く評価しているんですが、キャラクターとキャラクターの持っている思想が魅力的だっただけにやはり存在したはずのラストバトルはじめちゃんVSカッツェは観たかったなぁ。
放送分だけ見ると累が成長する物語で、はじめちゃんが超然とした保護者的立場になっているんですけど、きっとラストバトルがあればもうちょっと違うアングルの見え方ができたはずなんですよね。
最終話ED直前のはじめちゃんが親に電話するシーンなんかがその辺匂わせていますし。
というわけでBDボックスでの完全版希望!というのが現在の正直な感想ですね。
テーマ性
「ガッチャマンってタイトルだったら何やってもいいよ」というオーダーで始まったらしい本作。その自由度の高さを存分に生かした内容に大満足です。公式サイトで監督自身が語っているように、本作のテーマはネット普及に伴う技術パラダイムで混乱する社会へ向けてのメッセージが主体になっていました。
このテーマを描くうえで欠かす事のできないピースがカッツェですね。彼がネット上の悪意をそのまま擬人化したようなキャラになっているわけですが、とにかく現状のネットの罵詈雑言っぷりを良く観察できているなと唸るほど作りこまれた良いキャラでした。
ただ単にネットスラングをなぞるだけだと薄ら寒い演出になりがちですし、現実に見かけないような発言が多いと”そちら側の世界”ではそうなんだな、という理解になってしまうので、現実のネット社会と作品中のネット社会がつながらないと思うんですよね。(個人的にはヴァルヴレイヴのネット描写がこんな感じです。)
カッツェの言動は、ネット上の発言から透けて見えるモニターの向こう側の彼らの負の感情をトレースできているように感じました。
CVの宮野守さんも制作陣の意を汲んで素晴らしい演技で答えていました。これは宮野さんでなかったらもっと凡庸なキャラになっていたと思います。
それと僕自身いやしくもWEB系のエンジニアなので、システムが起こす世界の革新・混乱については色々と考えることが多かったですね。この辺語りだすとアニメからどんどん離れていってしまう上に変に愚痴っぽくなるので割愛しますが、WEBシステムの未来を考えるとエンジニアの責任ってドンドン大きくなっていくじゃないかなぁと漠然と不安になりますね。
ビジュアル面
テーマ性が強烈なので忘れがちなんですが、特殊スーツ系ヒーロー物としてみてもかなりカッコいい&可愛いビジュアルで美味しい作品でした。出来れば毎週バトルがあると嬉しいぐらいにはお気に入りです。というかバトルが少なかったことで丈さんに変なキャラ付けがされてしまうという弊害があった気が……。また変身前のキャラ原案を担当されたキナコさんのデザインも中村監督独特の画面に上手くハマっている良いデザインでした。全体的に平面的にデザインされているにも関わらず男女ともに色気を感じるデザインに仕上がっていてとても現代的だなと思いますね。
あと特筆すべきはルイルイ女装化ver。男の骨格を残したまま色気を感じる女装姿を仕上げてきたのはすごいですよ。これは女装っ子描写はこうあるべきですよね。
その他気になったこと
まぁとにかく歌う作品だったな、と。主にはじめちゃんとカッツェですが。ラジオでの発言を見るとどうやら鼻歌系に関しては大部分を役者陣のフィーリングに任せていたらしく、DIYの歌とかカッツェのミュージカル調の独白とか個人技の光るギミックで面白い試みでしたね。
その癖、最終回で「ヒーローとは何か」ってテーマと上手く引っかけて演出の材料にもなってしまうんだから痺れます。
あとはじめちゃんの超然とした感じも珍しい感じの主人公でしたね。たぶんこの子がそのまんまネットとの関わり方の理想形として提示しているんだと思いますがこんなにストレートに初めから完成してるキャラを出してくるって大胆だな、と。
ここでもカッツェと同じく普通はちょっと引いてしまうようなキャラ設定のはずなんだけど、その辺上手く調理して嫌味じゃないキャラに仕上がっていましたね。
PR
総評
久々のローゼンでしたがやはりドール達が可愛いの一言につきますね。いや、アリスゲームがどうでも良いとか決してそんな意味では……。
いやまぁ大ジュンの葛藤とか斎藤ちゃん可愛いとかまさかの梅岡登場とかドール以外の見どころも有るっちゃ有るわけですが、ドールたちの子供っぽくて可愛いらしいやり取りを観てるとそんなものどうでもよくなるわけです。
そもそもローゼン人気に火がついたのはアニメ1期5話の「階段」だったわけで、あの子供っぽいやり取りに心奪われた身としてはこういう感想になるのも致し方ない事なのです。
キャラデザ・作画
坂井久太さんのデザインしたドールは一様に可愛らしくて良かったですね。原作より小さめにデザインされていたようですけど、可愛らしさを強調するためにあのサイズにしたのかな、と。まぁ賛否両論あるんでしょうが僕としては有りですね。
全体的に作画は高水準で安定してたと思います。ドール達の動きもちょこまかとしていていい演技になってました。
デザインと合わせて本作においてなにが重要かという事が分かっている作画方針だったと思います。
演出・ストーリー構成
変則的なアニメ化3期・YJ連載分からのスタート・放送枠が1クールという悪条件での放送になったためか諸々整合性を採るために演出面・脚本面で苦労されているであろうことが伝わる内容でした。象徴的なのは1話と13話Bパートの高速展開ですね。1話では原作旧エピソードのおさらい、13話では雪華綺晶との次のバトルへ繋ぐためという意味合いなんでしょうけどこういう原作消費の仕方は正直残念ですね。いや、こうするしかなかったというのは痛いぐらいに分かるんですけど。
せめて2クールや分割2期であればこういうことにはならなかったんじゃないかと。
ローゼンって曲がりなりにも人気コンテンツのはずなのになんでこうアニメ化放送枠に恵まれないんだろうか。アニメ2期も急場凌ぎで酷い出来だったしなぁ……。
閑話休題。
まぁ前後で圧縮があったおかげで中心となる”巻かなかった世界”でのエピソードは丁寧に描写されていて良かったですね。全体的に大ジュンを含めた人間側の描写が地に足ついた演出になっていて好印象。生活感溢れるアパートの部屋に動きまわるドールという構図が良い違和感につながっていたと思います。まぁ後半はほとんどローゼンバトル空間が主体になってしまうのでアレなんですが、その辺はアリスゲームのアレっぷりと同様に仕方のない部分なので目をつぶります。
それと総評でも触れたけど梅岡のエピソードを挿入するくだりは演出も含めて上手かったですね。あの辺のバーズ連載分のエピソードを上手く絡めたのは良かった。1話の高速展開と含めて、ちゃんと原作の良さをアニメで再現しようという心意気を感じました。
ギャグ描写を原作準拠にしたのも、原作再現という意味でああいう手法を採ったのかなと思います。アニメ的には流れが切れてしまってあまり上手い方法とはいえないかな、と思わなくも無いんですけど後半は意外と慣れてきたのでアレはアレでありかと。
まぁ全体的に褒めちぎれる訳ではないんですけど、概ね良くやったんじゃないかと思ってます。いやほんと、あとは放送枠さえ上手く確保できればなぁ……。
総評
2013年春クールに始まったロボットアニメ3作品の中で一番ロボットアニメらしい展開をしてくれたアニメでした。初回放送を見た段階ではあまりに緩いノリとギャグ成分の多さにキッズ向けアニメを意識した作りなのかな?と誤解してしまいましたが、キャラクター達が少しづつ成長していき、後半からはしっかりとした骨太な作りのアニメに変貌していましたね。
作品テーマの一つである”成長”を魅せるために敢えてこういった構成にしたのだと思います。まともなバトル回が8話「ケレス大戦」と通常のアニメに較べて遅い構成になっていたのも同じ理由でしょう。
昨今の多作で視聴を切られやすいアニメ環境のなか、こういったストーリー構成を採るという決断は勇気のいることだと思います。が、それだけの決断に見合う効果がありました。
24話まで見た今、またもう一度最初から見返したいアニメです。
3DCGについて
本作の特筆すべき点はなんといっても3DCGでのバトル描写ではないでしょうか?今までは3DCGでのロボボトルというと、どこか違和感があり作画でのバトルと較べて見劣りする印象がありましたが、そんな印象を本作が塗り替えてくれました。2D作画での動きを3DCGで再現したかのような動きにグイグイと引きこまれ、さらに3DCGの強みを活かした超ハイスピードバトルに至っては2D作画を超えた感がありました。残念ながら僕は3DCGを語れるほど技術を知らないのでアレですが、素人目に観ても恐ろしく手の込んだ事をしているなという事を感じました。誰か詳しい人もしくは中の人が技術的な解説している記事があれば読んでみたいですね。
3DCGを担当したオレンジは恥ずかしながら本作で初めて知りましたが今後大注目の制作会社ではないかと思います。また本作で示した3D技術が今後の3Dを使ったロボアニメのディファクトスタンダードになるのではないかと期待しています。
ストーリー構成について
まずはなんといっても2クールかけてキッチリと成長を描いてくれるストーリーというのは頼もしいなと、改めて感じましたね。”とりあえず1クール”というアニメが多い中で本作は輝いていましたね。本作が扱っていたテーマは、”戦争”を軸に作られた生命、生きる目的、戦場での生死、仲間と家族など実に重いものばかりでしたが、作品が重くなりすぎずに済んだのは吉田玲子さんを筆頭にした脚本陣の手腕かなと思います。
本当にマジプリ独特のあの緩いノリは作品の雰囲気をコントロールする上で重要でしたね。まぁあのノリが嫌な人もいるかとは思うんですが、そういう人はきっちり序盤で振り下ろしにかかってましたし問題ないかと。
逆にこのノリが好きな自分なんかは、24話でまさか多段ツッコミが復活するとは!という思いでしたよ。あの多段ツッコミは初期のマジェプリを象徴するギミックでしたから、あのタイミングで復活してくるというのはテクニカルなストーリー構成でした。ヤラレた!という思いと感無量という思いがないまぜになる良いシーンです。
キャラクター設定もチームラビッツのどこか緩いんだけど本人たちなりに真剣に各テーマと向き合っていて親近感がわく良いキャラ達でした。
また8話を皮切りにバトルが回を追うごとにグレードアップしていて楽しめたのは、成長をメインに描いていたストーリー構成がバッチリバトル描写と組み合った結果かなと思います。
あと1歩だった所
基本的には良作でケチを付けるのも野暮ではあるんですが、少し残念だったのはエピローグが豪快に削られている点ですね。もちろんあのラストですから、完全にハッピーエンドではないですし、戦闘が一段落してしまったあとの世界でチームラビッツの面々の置かれる立場や繰り返し描かれてきた”一枚岩では無い”世界の不穏さなどエピローグを描いてしまうことで逆にモヤモヤが残るという判断だったのではないでしょうか?
で、あればやはりここは2期に期待したいかな、と。いよいよ本気に為ったウルガルと今回辛勝した地球側との戦いをぜひ観てみたいです。